THIS&THAT 住まいのあれこれ

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家事、子育て、家族とすまい

男社会の建築業界という世界において、女性建築士であることが有利だと感じるのが住宅の設計をする時です。
もちろん家事や子育てをしない男性建築士に住宅設計ができないとは思っていないし、
子供がいない女性建築士が子育てを考慮できないかといったらそう言う事ではありません。
しかし、「経験」というのは計り知れないほど大きい。
経験したことのないことはセオリーに走らず、教科書や参考書に頼らず、自分で調べ経験者の生の声を素直に聞く必要があります。
それでも、どこまでいっても、経験した者でなければ絶対に分からないことがあります。
それが実際の家事の苦労、子育ての苦労、介護の苦労。
これは本当にやってみて初めてその苦悩の深さを理解することになります。
家はその苦悩との戦いの場、主戦場です。
だから、実際にそこで日々延々と戦っている主婦の方たちに敬意を払い、
それぞれの家庭ごとに必要な細やかな配慮をすることが住宅設計には必要なのです。
画一的にこれが良くてこれが悪いということはないと思います。
しかし、家事、子育て、介護の何たるかも分からず、ただただ教科書通りの平均的な概念でしか設計しない建築士は多い。
ところが現実は違う。
施主さんとの打合せで具体的なそういった要望はほとんど出てこないのですが、子育てや介護の苦労は実は家庭の奥の見えない所にあります。
そんな声を大にしてなかなか言葉にできないことを、やはりそっと聞き出し、思いをくみ取って真摯に向き合い設計に反映させる必要があります。
そういうことが出来て初めて本質的な部分での「良い住まい」が生れるのだと私は信じています。

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自然素材と新建材

家づくりをしているとよく耳にするこの言葉、いったい何がどう違うのか簡単に言うと、
自然素材は無垢の木材、漆喰、石など自然由来の天然素材で作られた材料。
新建材は工業的に作られた建築用の材料。
このように書くと自然素材が良さそうに思われがちですが、実は私はどちらも同じように大好きです。
時々、自然素材しか使いませんと謳った工務店や設計事務所を見かけるのですが、
私は「もったいないな。どうして初めから選択肢の幅を狭くしてしまうのだろう?」といつも素朴な疑問を抱いてしまいます。

新建材はF☆☆☆☆(フォースター)という化学物質を発しないという商品認定を取っているものも多いのですが、
まぁ、それが信用できなければアレルギーをお持ちの方や、そういったものに敏感な方は確かに自然素材のみで建てるのがベストだと思います。
ですが世の中の人の大半は実はそうでもない。新建材に囲まれていても健康です。

住んでから発症する可能性はゼロではないですが、それを恐れるのは低い確率でしか起こらない事故を恐れて飛行機に乗らず
広い世界を見る楽しみを捨てているようなものだと私は思っています。
自然素材しかなかった昔と違い今は無数の建材が出回る時代です。もともと良くて当たり前の自然素材とは違い、
確かに新建材にはチープなものも多く千差万別あるのですが、しかしそんな中に自然素材の持つ天然の良さにも負けない
キラリと光るテクスチャを持つ建材、面白い機能を持つ建材を見つけた時の楽しさは格別です。
新建材はよくないと十把一絡げにするのではなく、個々の商品を一つ一つ見てみると驚くほど良くできた物を発見することも多いです。
またそういった物は不思議と自然素材との相性も良く、並べて使ってもケンカせずお互いの良さを強調しあいます。
技術や材料の進歩は益々スピードアップし今後もどんどん新しいものが生み出されてくるでしょう。
変わることが基本だと思います。
あくまで私の主観ですが、頭を柔らかく、囚われない自由さでどん欲に色々な素材を試していくのも
設計者として大事なことではないかと思っています。
要は適材適所。見極める設計者の目利き次第。

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構造について

建築士の資格といえば「一級建築士」が最初に思い浮かぶと思いますが、「構造設計一級建築士」という構造専門の資格があることをご存じでしょうか。
建築設計には大きく分けて構造設計と意匠設計があり、構造設計は文字通り構造のみ、意匠設計は構造以外の全ての業務を担当します。
木造2階建て程度の住宅なら意匠設計者が構造を決めることも可能ですがやはり餅は餅屋。
私はプラン設計の段階である程度の予測は自分で立てるのですが、最終段階で必ず構造屋さんに構造計算での検証を依頼しています。
なぜなら住宅で圧倒的に多い木造は、実は構造的には一番判断のしにくいものだからです。
代表的な建築の構造として、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造、がありますが、材の規格や品質が安定している鉄筋コンクリート造や鉄骨造は、
構造計算から導き出される数値も明快。しっかりと構造計算ルートが確定しており安心感があります。
それに反して木造は古来から継承され発展し、つい一昔前まで構造計算などされることもなく各々の大工の棟梁が持つ経験値と感覚によって建てられてきました。
そこに現代になってから後付けのような形で構造計算を行うようになり、安全検証をしてはいますが、
ほかの構造工法と比較するとどうしてもその構造理論はふんわりしている感が否めません。
大きな震災が起こるたびに調査チームが組まれ、調査、実験、検証され、その結果として法改正が繰り返されているのも主に木造です。柱や梁を緊結する構造金物をたくさん使うようになり、昔と比べると建物をガチガチに固め地震に備えています。しかしこれで安全なのかを本当に判断するのはまだまだ難しい。
その一方で1300年前から存在し続ける法隆寺も木造。
もちろん一部部材の取り換えは行っていますが構造計算などなかった時代に建てられた建物で建て替えは行っていません。
うーーーん・・・と考え込んでしまいます。
それだけ木構造は複雑で奥が深いものなのです。

省エネルギー住宅

●省エネルギー住宅とは
省エネルギー住宅とは簡単に言うと「エネルギー消費が少ない住宅」のことです。
住宅は冷暖房、換気、給湯、照明、家電などエネルギーを消費する設備を使いますが、その行為は二酸化炭素の排出につながり環境破壊を引きおこします。
たかが住宅と侮るなかれ、日本の二酸化炭素排出量のうち1割は家庭からでその量1.8億万トン(2015年)。
省エネルギー住宅は出来るだけ家庭においてエネルギーを使わないような家を作ることを目的に法整備を進める中で普及してきました。
環境に優しく、冷暖房の電気代が減るので住み手のお財布にも優しい。しかも断熱気密性能が向上することで室内温度が一定に保たれ気温差で起きる脳疾患や心疾患などのヒートショック事故の減少につながり健康にも優しい。
省エネルギー住宅はまさにメリットだらけです。

●省エネルギー住宅の作り方
・高性能な断熱性・気密性
具体的には床、壁、天井(屋根)に入れる断熱材の性能を上げ、尚且つ断熱材自体の厚みも増します。
同様に窓のサッシも断熱性能を上げ、窓ガラスも方位によって使い分けます。
また建物の隙間をなくし気密性能を上げます。
・自然エネルギーの利用
屋根の上にパネルを乗せる太陽光発電や、そこまでの設備投資でなくても住宅の南面に大きな窓を設置し冬の日射を最大限取り込み、夏は窓上に設けた庇で熱い直射日光を取り込まない設計をします。
これだけでも十分自然エネルギーの有効利用になります。

●省エネルギー住宅を設計に取り入れるにあたって
メリットの多い省エネ住宅なので、しっかりと設計に取り込んで行きたいものです。
ですが、実は私としては少し迷う部分もあります。
例えば省エネ性能を第一に考えると、おのずと建物は南に大きな窓、東西と北は小さな窓になり、建物の表面積が少ない真四角総2階の形状がベストとなってきます。
ですが敷地条件や住まい方は人それぞれ。
北に素晴らしい景色のある敷地は北にオープンな方が気持ちよいし、非効率であっても凹凸の多い外壁の形でプランを組む方が施主の暮らしに合う場合もあります。
また省エネ性能重視だと窓は断熱効果の高い樹脂サッシの選択になりますが、樹脂サッシは太陽光を浴びると変色する率がアルミサッシの5倍。
樹脂はプラスチックなので当然金属の耐久性には勝てないのです。
2020年には省エネ基準が法的に義務化されることもあり、今、住宅業界では省エネ住宅が注目されています。
私も省エネ住宅自体を否定するわけではなくむしろ積極的に取り組むべきと思っていますが、日々耳に入ってくる省エネ情報にいつの間にか翻弄され、本質的な家づくりが分からなくなってはいまいか。
省エネに偏りすぎてエコではあるが反面一律的で標準的になってはいまいか。
あるメーカーでは日本全国一律で窓にトリプルガラス(3重ガラス)を標準採用していますが、どう考えても北海道では有効ですが鹿児島では不要。これは過剰とはいえまいか。
家づくりに何が大切なのかよく考えないと、スペックに走ってしまい一体何に満足しているのか分からなくなりそうです。
数字に表れないところにも住まいの良さはあります。
省エネ基準義務化を目前にし、それが社会の要請であり時代の進歩だとは思うのですが、自分なりの基準軸をしっかり持たなければならないと思う今日この頃。

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植物の緑とすまい

「料理人はソースをかけて料理の失敗をごまかし、建築家は建物を植物で覆うことでその失敗をごまかし、医者は墓に土を盛って自分の失敗をごまかす」という慣用句がありますが、建築のくだりにおいて、これはかなり的を突いていると思います。
植物は建物の出来栄えがたとえ普通であってもワンランクもツーランクも「何か良い印象」を与える役割を担ってくれます。
また植物の緑は、通りや隣家からの視線を柔らかく遮ってくれる機能を持っており、夏の日差しを青々としげった葉で遮断し、逆に冬は葉を落とすことで日光を取り込める自然のシェード機能を持っています。
また忙しさでつい忘れてしまいそうになる四季折々の季節の移り変わりを知らせてくれ、草花の香りは癒しを与えてくれ、風が吹けばそよいでくれ、木洩れ日の光は目を楽しませてくれます。
こんな優れた緑を設計当初から建物と一体で考慮しない手はないでしょう。
ここにこんな緑を据えよう、と設定して空間を作っていくのです。
都市部ではなかなか立派な緑あふれる庭を持てる敷地に住むのは難しいですが、玄関先にシンボルツリー1本でも良いし、それすら困難ならば室内のどこかに草花を飾る花瓶一つを置けるスペースを確保するのでも良いでしょう。
やはり設計者としては、そこに住む人たちが一瞬心安らぐ程度の緑はどうしてもしつらえたいと思うのです。

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